10/26/2008

アメリカの健康保険の話

投票日も間近にせまり、大統領選で熱くなっているアメリカですが、ここアラスカ・アンカレッジは氷点下続きで、すっかり凍てついております。
昨日の朝なんて−10℃ぐらいになっていました…。
まだ10月ですよ!

大統領選はオバマ優勢になってきているようですが、最終的にどうなることか。ふたを開けてみないとわかりません。

さて、以前の記事で、健康保険改善のためにオバマに期待すると書きましたが、それについて

「アメリカの健康保険の何が悪いのですか?」

という質問を読者の方から受けた……
わけではないのですが、個人的に書きたいので書いておきましょう。

知っている方は知っていると思いますが、アメリカには国民保険というものがありません。つまり公的な保険はない(高齢者向けおよび低所得者向けにはありますが)のです。

そこで、さまざまな保険会社が販売する健康保険を購入して加入するわけです。ただし、会社勤めの人は、会社が保険会社と契約するグループ保険に加入します。

この保険会社が提供する保険は以下のような特徴があります…と書き始めようと思いましたが、たくさんあるので今回は1つに絞ってお話しましょう。

 1 ばか高い保険料とDeductibleの存在
Deductibleとは日本でいう免責のことです。日本でも車の保険にはついていますね。
免責の特約をつけると、保険料は安くなるけど、一定額の損害については自己負担になるというものです。例えば、5万円の免責の特約をつけていると、20万円の支払いが必要な事故を起こしたときは、保険金は15万円しか出ないというやつですね。

アメリカの健康保険には必ず免責があります。免責額つまり自己負担額が少なくなれば、少なくなるほど月々の保険料は高くなります。だいたい日本円にして5万円の免責の場合、保険料は月々10万円ぐらいになるのではないでしょうか。もちろん保険会社、年齢、家族構成、病歴、保険のタイプによっても異なってきます。
会社勤めの場合、一定額は会社が負担してくれます(あとグループ保険はもうちょっと安いかも)。会社によるようですが、だいたい5割ぐらいでしょうか。それでもすごい負担です。会社のほうも同じようにすごい負担ですね。

逆に月々3万円程度の保険料なら、Deductibleは30万円から100万円です。
ちなみにこのDeductibleは1年ごとの金額です。つまり、100万円のdeductibleの保険なら、毎年100万円までの医療費は必ず支払わなくてはならないということです。

ちなみにこの数字はeHealth Insuranceというサイトで調べたものです。

なお、Deductibleが30万円のやつならそう悪くないじゃん、と思うかもしれませんが、それにはそれなりの理由あるのです。

ちなみに上記サイトで見つけた保険料が月々269ドル(2万6千円ぐらい)、deductible3000ドル(30万円ぐらい)の保険は…。
Office Visitと呼ばれる医者の診療費は保険対象外
deductibleも30万円なのは1人分、2人なら60万円(2persons maximumと書いてありこれの意味がわかりません…3人目は保険対象外になるということでしょうか? それとも3人目からはdeductibleなし?)
薬代は対象外
X-Rayなど検査料は対象外(たぶん血液検査もそうでしょう)
などの制約があります。
何なら出るんだ?? と言いたくなります。

会社勤めだからといって安心できません。会社だって保険料の負担は安く抑えようとしますので、例えばいったん入院などしたために保険料があがりそうな社員は解雇してしまったりします。

そうそう、ちなみに健康保険といっても、歯科と眼科に関しては別にそれぞれの保険に入る必要があります。

まあ、やたらに長くなりましたね。
機会があれば、また書いていきたいと思います。
ちなみにアメリカの健康保険でどんな問題が起こっているか、知りたいかたは
マイケルムーアのドキュメンタリー映画「Sicko 」、
堤未果の「ルポ 貧困大国アメリカ」岩波新書 
をおすすめします。

保険会社にとって保険は商品です。
普通、一般的な会社は良い商品をつくることで売り上げを増やし利益をつくっていきます。
しかし、少なくともアメリカの保険会社にそんな気持ちは微塵もないでしょう。
そもそも本来は「保障」であるべきものを商品にしてしまうことが大きな問題です。
というより、そもそもアメリカの異常に高い医療費も問題です。

何にしてもこの健康保険に限らず、何でもかんでも民営化してしまうこと、そして自己責任という言葉で個人個人を分断していくことの問題は、決して対岸の火事ではないでしょう。

とまあ、私も今回はちょっとばかり熱くなってきたので、アラスカの冷たい空気に触れ、頭を冷やしましょう。






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